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映画評「ルーパー」

 
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「ルーパー」を観た。映画評論家の町山さんが昨年観た映画の中でベスト1位に挙げていて、とても気になっていた作品。この映画の中では因果応報、憎しみの連鎖(ループ)がテーマになっていた。そして、その連鎖を止める為には相手への攻撃ではなく、まずは自分自身の憎しみを消さないとその連鎖は終わらない。そこで主人公がとった行動によって世界の未来をも善の方向へ変えることにつながっていく。まさに今現在止むことなく世界各地で続いている戦争、紛争はこの憎しみの連鎖によるところが大きい。
 重いテーマに奇想天外な方法で挑戦した傑作だった。映画としてはとても観やすいテンポで、難解な構造のストーリーの割りに一度で理解できた。この映画の構造ではパラレルワールドがあるのではなく、あくまでも過去と未来はシンクロしていて現在を書き換えるとすぐに未来に変化が現れるようになっていた。この点は同じようなタイムループを使った映画の「ミッション・8ミニッツ」とは違うところ。「ミッション~」ではいくつも平行して世界が存在して既に起きた他の世界は書き換え不可能だった。このルールがタイムスリップモノ(映画)ではそれぞれ微妙に違うので毎回戸惑う。しかし、この作品はこのルール説明が上手く、全体がタイトにまとまっていた事に感心した。ストーリーには色々な要素を詰め込みすぎなところもあって、やや指摘せざるを得ない。未来で殺しができない理由が説明不足、よく解らなくて納得いかなかった事。ジェニーという娼婦の役割があいまい。あと、ルーパーの元締め組織があっという間に壊滅させられているのは弱すぎではないか・・・。TKという「アキラ」のような決定的な能力まで登場させるのはややズルイ。しかし映画全体的にはスペクタクル映画王道の形を成していて良質なサスペンス・アクションに仕上がっていて面白かった。

by teruiso | 2013-01-01 10:59 | 観た映画(展覧会なども)
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