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サビのココロ


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鯉江良二作「湯呑」

鯉江良二先生の弟子だったころ、
兄弟子に尋ねた。
「どうして先生は陶芸店で売っている
出来合いの釉薬と土を使って、
しかも電気窯酸化焼成で作品を作るのか」と。
兄弟子「鯉江先生のように
陶芸の道を究めたような人が
一般人が普通に購入できる
市販の土と釉薬を使って作品を作ることこそ
すごいことだと思うよ。」
目からウロコである。
そのころ私はまだ陶芸の勉強を
始めたばかりだと言え
陶芸は素材から吟味して
焼き方までこだわった方がいいと
考えていた。
しかしながら
どんな素材であっても
自分の作品の域にまで高めてしまう
鯉江良二の姿勢に物を作ることの本質を見た。
先日、進士五十八先生の講義を
インターネットで観た。
この方は造園の道から大学学長などの
高い役職にまでなっている人物であるが
日本の「寂び」というものについて
「長く時間が経ったものを寂びという。
天然自然に近くなるということ」と説明していて、
私はこれを「風化」のイメージに近いと思った。
ものは角が取れて丸くなる、
心もまた角が取れて丸くなる。
何でも許す心、寛容性の広さが
奇想天外な挑戦に向かわせていく。





by teruiso | 2021-06-14 11:54 | 器の記憶と記録
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